ペンローズのねじれた四次元

 2006-11-14
ペンローズのねじれた四次元―時空をつくるツイスターの不思議 ペンローズのねじれた四次元―時空をつくるツイスターの不思議
竹内 薫 (1999/07)
講談社

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★★★☆☆:ペンローズのねじれた四次元

この著者は他にもいくつか書いているが、基本的にはあまりお勧めできない。
妙な小説が間に入ることも原因なのだが、
なによりも解説を平易にしようとして逆に失敗していると感じる。
ネタと題名の選び方は巧いのだが。

ただし、年を追うごとに改善されているので(読み慣れただけかもしれないが)、
一応買うことは買っている。


肝心の本の中身だが、ツイスター理論の本に見せかけて
実際はちょっとしか触れられていない。
「そもそもツイスター理論は相当難しい」とはいえ
それにしても「ニュートンの絶対空間」から入るのはどうかと思う。
この本を買う人間は、そういうことはもうわかっているのでは・・・。

ちなみにペンローズの有名な業績のうち、下記は紹介されている。

・エッシャーの騙し絵(の元ネタに協力したこと)
・ペンローズタイル
亜高速で動く物体は、縮んで見えるのではなく回転して見えること
ペンローズ・ダイアグラム
・ホーキングとの、特異点定理に関する業績
・その他フラッグポールなど。

しかし、重要な部分が抜けている。
「特異点定理をブラックホールや宇宙開闢に結びつけたのはホーキングである」、
というところまでは良いのだが
実はペンローズは本来、下記のように言っているのだ。

一般相対性理論には数学的に破綻するポイントがある、
つまり相対論も、ニュートン力学と同じく近似論だ


この破綻ポイントこそが「特異点」だが、なお重要なことに、実は彼は
特異点という言葉を使っていない
「密度無限大(特異点)」が実在するとも考えていない
これらはいずれもホーキングが言い出したことであり、
むしろ彼は、ホーキングがセンセーショナルな扇動を行ったとすら
考えている節がある。
(このあたり、雑誌ニュートン2005/09月号にて、談話が掲載されている)

特異点が存在しないと考えるのは、
彼が数学者かつ実在論者ゆえに「無限大」を許可しないからであろう。
逆にホーキングは、実証論者であるがゆえに
「特異点によりどんな事が解るのか」を考えたのだろう。


ペンローズの方がよい、というわけではない。
「ある事柄の意味すること」を考える視点が違うだけだが
しかしペンローズのストイック性を現すこのエピソードは
この本には載せておくべきだろうと思う。
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